NISHI TSUKASA 
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趣味の館
〜マジック編〜

05. ROUTINEについて

オレは、まず最初にコインマジックを披露する時に、DAVID ROTHとMICHAEL AMMERの「ONE COIN ROUTINE」を組み合わせて演じています。なぁ~んて偉そうに.....。
10日前まではこんなカッコいい事を言う男じゃなかったが、H.Pを作ったら人が変わった(笑)。まぁでもこのパターンは1年前からずっと変わらないですね。

コインマジックに興味を持ち始めた頃はコインが消えて出て来るだけで嬉しくって、「ほれほれ、見て見て、消えたで~!でもでも見て見て!現れたで~!」の繰り返しを何ヶ月もやってた。当然「消えるハズがない!」「現れるわけがない!」の疑いで見てくれる人が増え、オレのモットーの「楽しんでもらう」が違う方向に行き出した。

なぜみんなは疑い出したのか。

そりゃあそうさ。オチがないんだもん。
「消えて現れて、で、どうなるんだよ~?!」っていう顔の観客に対して「これで終りさ!」は楽しんでもらうハズが欲求不満にさせている。とにかく、これでは単なるチョコマカした小ワザを自画自賛しているアマチュアだ。いやいや、アマチュアなんだけどね、なぜ疑われるようになったのか。
それはおそらく観客に推理させてしまう時間を与えたからだ。

コインが消えて現れる。この2つの現象だけだったら観客は終ったあとも疑う部分を記憶してる。そのためにはどうしたらいいのか。ROUTINEを組まなきゃいけなかったのです。
流れのある演技は、最初のうちは「あっ!あの左手が怪しいかも!」って思う人がいるとしても、「あ、でもなぜ今右手にあるんだろう。あれ?2枚になった。お?消えた...。
おや!!!でっかいコインが出てきた!そんなものどこに隠してあった?!
あれま!でっかいコインが2枚に!!!
オ~~~イエ~~~!!!」となって、最初に疑っていた部分の記憶はもう感動に変わっている。

うまいROUTINEを組めるマジシャンは観客に「ちょっと待った!今、左手を開いてみて!」なんて言う言葉を発するタイミングを与えない。ただし、消す、現れる、のテクニックだけを磨いてたら、やっぱり観客に不快感を与えかねない。「してやったり」の顔つきが残るだろう。

マジックのマニアに見せるのではないんだから、そのためにはまず、ゆっっっくりとハッッッキリと現象を見せ、手のテクニックだけではなく言葉のテクニックや心のテクニックも磨く事なのさ!「心のテクニック」だって...。

ほら、10日前まではこんなカッコいい事を言う男じゃなかったが、H.Pを作ったら間違いなく人が変わってる。

とにかく居酒屋マジックはいわゆるひとつの眉村 卓だよ。ショートショートさ。
簡単なマジックにも美しいドラマがある。起承転結をつけるような気持ちでROUTINEを組む事がとにかく大事さ。それと、あとは観客の手が飛んできたり、観客がROUTINEの途中で語り出したりするのを防ぐためには、どんな小さな居酒屋のステージでもマジシャンがオーラを放って「どうなっていくんだろう...最後はどうなるんだろう...」って思わせないとダメだと思う。

そのためにはマジックを始める前に自分のボルテージと共に見てくれる人のボルテージも上げていけば必ず成功するハズさ~。その辺がわかっていないと観客がよそ見してる間に始めちゃったりしてしまう。観客を魅き付けていないから手も口も飛んでくる。

な~~んて言いながらオレもいまだにそうさ!

「さぁ、ジャンボコインをパームしたぞ!あとは出せば驚いてくれるかな~!」って思ってる矢先に「おぉ~~、兄ちゃん、いいね~!マスター、この兄ちゃんに越乃ホマレを一杯~!」
だって......。オレのクライマックスが.....

すべては演者の技量の問題なのです。いろんな観客がいるのです。ましてや居酒屋はお酒を飲む所。ROUTINEの長さも、演技の複雑さも、言葉の選び方も慎重にしないとね。
といつも自分に言い聞かせています。

オレはコインマジックバカだと思う。ほんとに思う。
だってね、オレのコインマジックは主に10円玉を使う。で、飲み屋に行く前に「ん~~、どうやら今日はコインマジックをするかも知れないなぁ...」なんて胸騒ぎがする日は、茶色や赤茶色系の服やパンツを履いて行く。
何のために?と言われれば、まぁ一応、念のため。

  

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