〜マジック編〜
14. ステキなマジシャンは怖くない
約20年前、オレは大阪の母校、某芸術大学での何百人も参加するマージャン大会で優勝しました。
もちろん全ゲームポイント制なので賭けマージャンではありません。オレの師匠は小島武夫さんといって、当時は11PMという番組でも毎週マージャンをしていたプロ雀士です。彼はつねに言います。「イカサマはすべて覚えろ」。もちろんオレもほとんどのイカサマを覚えていました。
オレはマージャンは小学校4年からやっています。小学生の頃からおじいちゃんの代打ちなどを死ぬほどやらされてました。でもね、もちろん今までオレは一度としてイカサマを使った事はありません。
小島さんは、なにも「使うためにイカサマを覚えろ!」と言ってるんじゃないんです。「見破るために覚えろ」と言ってたんですよ。もちろん「師匠」とは言っても実際に手ほどきを受けた事はありません。テレビやビデオや本での師匠です。
相手が役満を張っていようが何だろうが、こっちが勝負手なら見向きもしないでガンガン行きまくるのが小島流マージャンなんです。
東京に出て来ても「お一人さまでも遊べます」へはよく行きましたね。つい6~7年前までもガンガンとマージャンやっていましたよ。
ところが.........。
6~7年ほど前のある時、友達の家で、東3局までに3回も役満をあがってしまいました。
さすがに3回もあがると、他3人の顔は変わっていましたね。実際、言葉でも言われましたよ。「お前、3回もおかしいだろう」。おかしいも何も、どないせぇっちゅ~ねん.....。
もちろん東場で3回も役満をあがるくらいツイてたんだから、そのあとの配牌も凄まじかったんだけど、もうそこにはワザとメンツを壊していく自分しかいませんでした。
あのさぁ、天和を3回もあがったのなら首絞められようがクスグリの刑にあおうが仕方ないけど、四暗刻や鳴きの大三元はツイてりゃそんな時だってあるっちゅ~の......。
でもね、3回もあがった時に囲んでた他3名のことを考えたら、まぁ気分はよくないよね。
でもね、マージャンは、そんなときにそんな言葉が出るような遊びなんだ、と思ったら、もうやりたくなくなっちゃった。それ以降、やっていません。
ってか、その後マジックが好きになったので、さらに何を言われるかわからないしね。
そうなのです。マジシャンはマージャンやカードゲームをしない人が多いんですよ。
しない、というより、出来ない。毎日毎晩接待を続けていても平気ならやるのでしょうが、基本的には勝つ訳にはいかないからね。
そういう意味でも昔はね、マジシャンは「恐い」と言うイメージがありましたよ。
メンタルマジックにおける現象などが恐さを感じる?それもありましたが、たとえばマジシャンの私生活において、「つねに人の裏を考えてるんじゃないか」とか、「物が消えちゃうんじゃないか」とか。心理学にも長けていそうだし。
そういう意味ではついこの前TVでやってた、セロが石田純一の時計をスッたのはよくなかったな....。マジックはスリじゃないんだから、もとスリがテクニックを披露するような事をしてどうするんだろう...。あの部分だけはオレはほんのちょっとだけ好きじゃなかったな。
ま、この辺は賛否両論だろうからいいとして、とにかくマジシャンは「恐い」と言うイメージがあったんですよ。ちょっと前まではね。
ところが、CASPER氏と出逢い、ボナさんやテンドーさんとも知り合って、その思いはどこかに吹っ飛んでしまいましたね。正直いって、CASPER氏とならポーカーゲームを出来ますもん。ボナさんとならマージャン出来ますし、テンドーさんと花札もOKですよ。
もしも読者で、マジシャンは恐いと少しでも思ってる人がいれば、いいマジシャンと出逢ってみて下さい。いいマジシャンとは、「マジックを楽しんでくれるお客さんを心から愛する事が出来るマジシャン」です。テクニックを磨き、自信がついただけのマジシャンは多かれ少なかれきっと恐さが漂っています。
思いやりのあるステキなマジシャンは、マジックをしていない時も魅力的です。ほんとにほんとに魅力的です。
ボナさんはね、飲みの席などでは、そんなにそんなにマジックをする人じゃない、って聞きました。もちろんプロマジシャンですからね。でもね、それは、マジックをしていないボナさんも魅力的だから周りのお客さんもべつにボナさんがマジックをしてもしなくても楽しいんですよ。だから気が付けばたまたま飲みの席でマジックをしてなかっただけの事なんじゃないのかなぁ...。会話ひとつひとつが楽しいですもん。
今回は、ステキなマジシャンは恐くない、でした。