NISHI TSUKASA 
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趣味の館
〜マジック編〜

21. 心構え。

「マジックをやってよ~~!」って言われるのと「マジックを見てくれませんか~」って言うのとではやり方が全然変わってくる。

先日USOジャパンの敗者復活戦で行われたストリートマジックなんかは、まさに「マジックを見てくれませんか~」の世界だ。まぁ、あれはTVなので、照明や音声など、たくさんのスタッフが取り囲むからまた違った反応もあるんだろうけど、普通、マジシャンが一人で知らない人に「マジックを見てくれませんか~」って近付いたら、「えぇぇぇぇぇ~~~?!」とか「ギャ~~~~~!」って逃げられてしまうだろう。あ、もちろん駅前や道端など、外の世界。

これが居酒屋だと、逃げも隠れも出来ないので仕方なし見てくれる人も出てきてしまう。だからこそ、「マジックを見てくれませんか~」は神経を使わなくちゃならない。

オレがよく行くいくつかの居酒屋は、もう回りの人たちがみんな、オレがマジックをする事を知ってるから、いくら初めての人でもマジックがやりやすいシチュエーションになっていく。あ、言っとくけど、行けば毎回毎回マジックばっかりやってる訳じゃないよ!!!だいたいサンライズの人たち、ちょっち苦手だし(笑)。seed、パクられたかも知れないし(cannot笑)。

どっちにしろ、その居酒屋ではいまだにオレをマジなマジシャンだと思ってる人たちもいる。前は「いえいえ、趣味でやってるんです。仕事は音楽家です」と言ってたが、だんだん説明するのがめんどくさくなってきて、マジックでメシ食ってるの?って言われて「そんなようなモンです」って言ってる(爆)。プロマジシャンさまたちごめんなさい。

さてさて、「マジックを見てくれませんか~」って演じる方から近付いて行ってるのに、演者がえらそうにしてる事がよくある。まぁ、あんまり下出に出るのも弱すぎて良くない事もあるけど、あくまでも「見ていただく」って事は「あなたたちの世界に土足で踏み込んで行ってしまってごめんなさい!でもOKが出たからにはせっかくお邪魔させてもらえたのだから一生懸命演じますので、よかったら楽しんでくださいね!」っていう気持ちをつねに持っておかないと、相手にも失礼だし、自分のためにもよくない。
一番嬉しい時っていうのは、演じ終えたあと、「もう一回やってよ~!」「もっと見せてよ~!」「また見せてね~!」など、次につながる言葉を言われた時。逆に、見せられた方にグチャグチャ言われてまともに演技も見てくれずに文句ばっかり言われた時に「あの人はマジックの見方がなってない。」とか「あの人は疑い深くてよくない」なんて言うマジシャンの方がよくない。そのお客さんを選んだのもマジシャン自身だし、その大半はマジシャンの技量(手先のテクニックだけじゃなく)によるものだからね。
自分の技術は棚の上にあげておいてお客さんのせいにする。お客さんにとっては悲惨だよね。

オレはサラリーマンもしていたのでちょっとはわかるが、営業、とくに飛び込み営業の場合、「モノ」を売り込む前に自分を売り込まなくちゃならない。「モノ」なんかニの次でいい。

勘違いしてるマジシャンもいるらしいんだけど、演じてるその現象だけを伝えたいのなら何もあなたじゃなくてもいいよ、って感じ。たとえば黄色いハンカチが卵に変わる!って言うマジックは、ある程度のテクニックを持ってるマジシャンなら簡単な事なんだけど、それは技術的な部分だけ。何が大切かというと、おんなじマジックでも、この人の演技で見たい、って思われる事が大切だよね。

もしオレのCDをたとえばTV局に売り込んでもらえるマネージャーがいるとしたら、オレはCDを局のプロデューサーに渡すのなんかはずっとずっと先でいいと思う。まずはそのプロデューサーと何でも話せるようになり、ゴルフも行き、ネーちゃんのいるお店にも行き、盛り上がって、「あんた、ところでプロダクションの人だけど、今、どんなヤツがいるの?」って言われて初めて「いやいや、ウチのアーティストが今月、このCDを出すんですよ~」でいいと思う。営業で勘違いしてる人に限って、会っていきなり相手に商品を突き出して「これ、いかがですか!」って言う。「商品は素晴らしいけどお前が嫌い」って言われちゃうぞ~。

マジックはまさにそう。そのマジック、素晴らしいんだけど、あんた嫌いって言われたら最悪でしょう....。マジックの前に自分自身を磨いて自分自身が嫌われないようにしないとね~。

  

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