NISHI TSUKASA 
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TSUBUYAKI

2008.08.12

西の夏は終った(笑)。

それはまぁ大袈裟ですが、とうとうミンミンゼミの羽化を撮影することが出来ました。おまけにツクツクボウシまで撮影出来た。実はミンミンゼミとツクツクボウシとヒグラシは色合いがすごく似てるんです。大きさや形は違うんだけど、羽や身体の色のキレイさは非常に似てます。
前にアブラゼミの羽化を撮りましたが、アブラゼミは羽が透明ではない分、時間が経つにつれて羽の水色が消えていきますが、ミンミンゼミやツクツクボウシはまだ羽が乾いていない段階から透き通っているので鮮やかなブルーに光ります。

いや~~~、しかし幼虫には何度も騙された。アブラゼミとミンミンゼミの幼虫は極似なので、せっかく観察し続けて、写真も100枚以上撮り、羽化し初めて「ありゃ・・・アブラゼミじゃん・・・」ってなことが何度もあり、もうミンミンゼミは撮れないんじゃないか、とあきらめかけましたが、この日は驚くことに3匹もミンミンゼミがいたのです。アブラゼミはもっといましたが(笑)。それにしてもツクツクボウシはまだちょっと早いかな、と思ったので途中まではニィニィゼミだとばかり思ってたのですが、羽化し、羽が透明なので途中から本気で撮りました(笑)。

とりあえずはツクツクボウシではなくミンミンゼミを見て頂きましょう。

これを目の前20cmの距離で見たら、まさに動く宝石、飛ぶ宝石ですよ。もう多くは語りません。フォトは文章ほどにモノを言う。そして棚からボタモチ。ツクツクボウシまで見れました。

なんと地上約15cmのところで羽化していました。危険です。野良猫に襲われてしまいますから。飛び立っていくところまでは見守ってあげましたがそのあとは知らんよ。それにしても目がかわいいですね。

そして次の日、太陽の下で元気に鳴く成虫をカメラに収めます。

いたいた。

見える?近付いてみましょう。

もっと近付きましょう。

もうちょい!

どうです?

ここまで近付いても逃げません。おやっ?昨日羽化してたミンミンゼミです。なぜわかるか、って?近付くと「よぉっ」って言って下がってきたんですよ。オレも言ってやりました。「よぉっ。ツクツクボウシのモノマネは出来ないのかい?」って。そしたら「練習してみるよ」って。「ミ~ンミクミクボ~ンミンミン~~~、出来るかい!」って怒ってましたよ。

さてさて、観察していて、すごく疑問に感じたのですが、幼虫はすごくすごく動きが遅いんです。10cm歩くのにも随分と時間がかかる。手足の動かし方もノソノソしてる。亀の方が動きが速いんじゃないか、って思うほどです。それなのに!それなのにですよ!!!羽化し、ノソノソと羽が伸びて、羽化のあと5時間もすれば空高く飛んで行くんですよ!!!!!

あんなに手足の動きがノソノソなのに、なぜ羽を羽ばたかせる筋力だけは凄まじく強く、あんなに速く羽ばたかせられるのか!!!たとえて言うと、95歳のおばあさんが目の前の湯のみを持つのもゆっくりなのに、コンビニに行くときだけモノすごいダッシュで100mを12秒ぐらいのスピードで走っていったら誰でも驚くでしょ?!?!?!しかもそのおばあさんがブルーに輝いてたらどないします~?!?!?!これほど神秘的な物体はありません!!!おばあさんやないですよ、ミンミンゼミのことですよ。

そんなわけで、虫嫌いの人は前回のアブラゼミといい、今回の羽化といい、文章さえ読んでくれてないんでしょうね。いいんですいいんです。西の40年以上も見て来た夢が叶ったのですから。

さぁ、次はヒグラシかエゾハルゼミだな(笑)。


2008.08.11

19年ぶりに恩師のT先生と話した。
高校の時の音楽の先生。そして吹奏楽部顧問、さらに吹奏楽部の指揮者、そして生徒指導でもあった。T先生からは多くのことを学んだ。西を音楽漬けにしたのもT先生だ(笑)。

T先生は生徒からは恐れられていた。90kg近い巨体でいつも竹刀を振り回していた。生徒指導のために生まれてきたような巨体、さらに福岡弁と広島弁が混じったガラの悪いデカい声。でも、吹奏楽部に入部してみて随分と印象が変わった。吹奏楽や音楽指導者としての確かさと熱心さ。

T先生と最後にお会いしたのは2005年1月。オヤジのお葬式にかけつけてくれた。オレの目の前にT先生はいた。でも、90kgの巨体が60kg台になっていたらしく、オレは気付かなかった(笑)。あとで友人に「T先生も来てたね」と言われて驚いた。何の挨拶も出来ぬまま年月が過ぎていった。

そして今日、電話番号を入手し、まだ使われていることを期待して電話した。最初に出たのはT先生の奥様でした。当時の声のまんま。奥様には大学受験の時に大変お世話になった。新曲視唱、聴音、楽典、ピアノ、ホルン。すべてをマンツーマンで教えて頂いた。そしてT先生には編曲法や作曲法、吹奏楽法、管弦楽法等を教えて頂いた。奥様は、さすが、T先生の運命の人だけあって、音楽教育に関してはT先生と同じぐらい恐かった(爆)。

「西くんなの~?!」という奥様の声に胸がいっぱいになる。そして恩師に代わる。「何しとるん」(笑)。なつかしい声は当時のまんまだった。去年、教師を辞め、和歌山から実家のある福岡に帰っていた。

実はこの電話をする前に、T先生のご活躍はインターネットで見させて頂いてた。我が母校から県下の別の高校に移動し、そこでもやはり吹奏楽顧問になり、指揮者としてご活躍されていた。便利な時代になった。先生が指揮された吹奏楽コンクールの音はネットから簡単に入手することが出来た。

オレらが現役の頃、達成出来なかった関西吹奏楽コンクールでのSilver Prize。94年キャンディード序曲、95年オリエント急行、98年ミシシッピー組曲。それ以外にもたくさんの輝かしい入賞。自分のアルバムリリースと照らし合わせてみた。ぼくらのヒストリー、This Big Riverをリリースしている頃、恩師はこの曲のタクトを振っていたんだな、って。込み上げて来るものがあった。同じ時間軸上で、オレの知らないところで恩師は輝かしい成績を残してる。自分のことが精一杯でとてもじっくりと周りを見渡すことが出来ていなかった。今日一日で当時のことをたくさん想い出した。入部したときのこと。コンクールのこと。合宿。受験。中国演奏旅行。

T先生もいろんなことがあったらしいが、福岡にいるT先生のとっても元気な声を聞くことが出来た。長くは話せなかったが、一度遊びに来い、という。計画を立てて行こう。鉄道ででもたった5時間で着くんだなぁ。ちょっとトランプを触ってるだけで着いてしまう距離だ(笑)。またひとつ楽しみが出来た。


2008.08.01

ちょくちょくBBSにも写真を載せてきたんだけど、ちゃんとまとめてTSUBUYAIてみることにした。NISHI TSUKASAのセミ日記。

そもそも蝉は小学生の頃から好きだった。近所の公園だけではなく、和歌山城などにもよく蝉取りに行った。関西ではクマゼミ、アブラゼミ、ニイニイゼミが多い。もちろんツクツクボウシもチッチゼミもヒグラシもいるが、数で言うと圧倒的にニイニイゼミ、クマゼミが多い。

基本は素手で取るけど、ちょっと高いところは玉を使う。底の深い、口径の小さい玉。いやぁ、なつかしい。おそらく中学生以降は蝉とりはしていないなぁ。ただ、木を見て歩くクセは付いてしまってる。それはいまだにそう。とくに蝉のお尻から見た映像が焼き付いてる。僅かに飛び出た目玉が見える。それはクマゼミが多少、ギョロ目だったからかな。とにかく今から考えるとクマゼミのスタイルの悪さには驚く(笑)。でもたぶん一番多く捕まえた蝉だ。

小学校4、5年の頃だと思う。和歌山に根来寺というお寺があるんだけど、オヤジは毎週、そこのオデン屋にドライブに連れて行ってくれた。今から考えたら、車好きのオヤジのドライブに付き合ってたのかも知れない。あまりにも毎週行くモンだからそのオデン屋の主人と仲良くなった。ある日、オデン屋に着くなり、主人がオレを蝉取りに連れて行ってくれた。すさまじく高い森林の中を庭のように歩き回る主人。そのあとをついて行くのが精一杯のオレ。最初に取ってくれた蝉がミンミンゼミだった。図鑑でしか見た事がなかった。憧れだった。他の蝉にはない美しい色とスタイル。胴はせいぜい3、4cmなのに全長はアブラゼミと変わらない。いかに胴が短く足の長いスーパーモデル風な蝉なのかがよくわかる。オレはもういいよ、帰ろう、と言った。カゴに他の蝉を入れて、ミンミンゼミの羽にキズがつくのがイヤだった。関西在住時にミンミンゼミを手にしたのはこれが最初で最後でした。

それから◯◯年。東京に住み、クマゼミのいないこと、ミンミンゼミの多いことに驚いた。とくにミンミンゼミは民家の壁でも鳴く。ただ、昔とは違って、捕獲しようとは思わない。がしかし、ふとあることに気がついた2008年、夏。
これだけ蝉を見て来たのに、一度も蝉の羽化を見たことがなかった。よし。この夏は蝉の羽化を必ず見よう。さらにデジカメに収めよう。。

晴れた夕方前。近所の公園の探索から始まった。
鳴いてる鳴いてる。アブラゼミ、ニイニイゼミ、ミンミンゼミ。

 

木の下の地面の穴を探す。抜け殻がたくさん。立派な抜け殻だ。背中が割れてなかったら幼虫と見違えるぐらいの抜け殻。しかも考えられないぐらいの握力?腕力?で木や葉っぱにしがみついている。抜け殻を外すのにちょっとした力がいる。しばらくして幼虫を発見。確かに動いてる。

どの木に登るのかを見届けてから一旦、自宅に戻る。その後、夜の7時半、懐中電灯とデジカメを持って、虫除けスプレーをまんべんなく付け、見届けた木に直行。ちょいと時間がかかったが、幼虫を発見。葉っぱにいた。

一枚の葉っぱを動きまくっていたが、そのうち動きが止まった。しばらくして背中の色に変化が。そして背中が割れた!

少しずつ少しずつ出てくる。

真っ白な身体のところどころに水色が。鮮やかだ。目の前で見るのは初めてだ。神秘的でカメラを持つ手が震えてるのがわかる。

1cm弱の短い羽が少しずつ伸びて行く。

風のイタズラが木を揺らす。ヒドい。逆さに宙吊りになった蝉を風が揺らす。落ちてしまうよ。まだまだ柔らかい身体が地面に叩き付けられたら最悪だよ。ところが次の瞬間、人が腹筋運動をするようにガバッ!と身体を起こして殻にしがみついた。

シャッターを押すのを忘れて喜んだくらいだ。見事だ。そのあとはしっかりとしがみついたまま、時々移動をし、羽はどんどん乾いていく。水色が鮮やかで神秘的だ。

さらに羽は伸び切り、さらに乾いていく。

やがてうっすらとアブラゼミ特有の茶色があらわれる。

そして誰が見てもアブラゼミだとわかる色になった。

ほんとに鮮やかな水色だ。
だけど・・・
だけど・・・・・
だけど・・・・・・・・
アブラゼミには申し訳ないが、ミンミンゼミの羽化は一級芸術品だ。なぜなら成虫の羽が透明だから羽の変化が素晴しく美しいし、胴のブルー&グリーンが羽化時は金色に輝く。

↑のフォトは「 I.T.C ONSEN KIDS」というサイトの小泉伸夫さん観察の「セミの羽化を観察しよう!」からお借りしました。
こんなフォトが撮れた日にはオレは何ヶ月もメシも食わずにフォトを見続けられることでしょう(笑・本気)。このサイトは、べつにセミに関してのサイトではありませんが、ミンミンゼミがどれだけ美しいかを是非伝えたく、そのためにはこの美しい色は言葉では伝えられないので美しいミンミンゼミを探していたところ、このフォトに辿り着いたんです。

「 I.T.C ONSEN KIDS」は「科学の感動をすべての子ども達に」をテーマに実験、観察、工作を楽しむサイトなんです。URLは
http://g3400.nep.chubu.ac.jp/onsenkids/kids.htmlです。たくさんの楽しい実験、観察、工作があります。ひょっとしたらみなさんも何かの検索で一度は見ているかも知れません。TOPページの「初めての方はこちらへ」から入ってみて下さいね。冒頭からとってもステキな活動をされているのがよくわかります。掲載許可を頂いた「 I.T.C ONSEN KIDS」のadminさん、セミの羽化の観察日記執筆者の小泉さん、当銀さんを始めスタッフの方たち、ほんとうにありがとうございました。

今年中にもう一度、今度はミンミンゼミの羽化フォトに挑戦したいな。ミンミンゼミの羽化フォトが撮れれば、40年のセミ好きの完結編になるかも知れない。でもね、決して美しく、いいことばかりでもないんですよ。

もうひとつ、セミの羽化フォト検索中に出逢った日記です。博多生まれ、横浜在住の「はるきょん」さんのブログの日記です。悲しい中でも筆者の気持ちと行動にたいへん感動しました。是非読んでみて下さい。http://halcyon.cocolog-nifty.com/halcyon/2006/08/post_8966.html

はるきょんさんの日記を読んで共感したのは「体にピッタリと張り付く抜け殻から綺麗に抜け出すことが、いかに奇跡的なことかと思う」(はるきょんさんの日記より)っていう部分。殻から出始めてから、たった6~7時間で羽を伸ばして成虫になる。一生懸命出て来るところを目の前で見るとほんとうにはるきょんさんの言う通り、奇跡的だと言うのがわかります。オレなんて、ビニールの手袋を外すのでさえ中指を引っ張って、薬指引っ張って、人差し指引っ張って、また中指引っ張って・・・そんで脱ぎ終えた手袋はグチャグチャなんですよ。しかもビニールの手袋なんてセミの羽化に比べたら全然ピッタリでも何でもない。

実は今回のこの公園の入り口付近でちょうど撮影しやすい高さで羽化し始めた幼虫を発見。10分写真を撮ったんだけど、おかしいことに気付いた。遅すぎる。殻を割って白い成虫が2cmほど出てるんだけど変化がない。さわってみると硬くって動かなかった。随分前からこの状態で亡くなってたらしい。ここまで頑張って来て2cmほど身体を出したところで息絶えた。ほんとうに残念です。

必ずしもいい話ばかりではない。だから五体満足で成虫化した蝉には、何らかの事故に合った蝉の分まで思いっきり大空を駆け回ってほしいし、鳴きまくってほしい。誰が何と言ってもオレは蝉が好き。でも仕事をさぼってまで蝉の撮影はしません。
20年後、蝉といっしょに公園で生活してるのはちょいとイヤだから・・・。

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